『鬼嫁日記』

『アットホームダッド』と同じ世界で繰り広げられる、ホームドラマ。最初は観月ありさ演じる鬼嫁の早苗に殺意が湧くほどイライラさせられたが、後半になってくるにつれ、可愛く見えてくる。夫に対して愛情が薄く、そのためひどいことを夫にする妻ではなく、ちゃんと主人公の一馬に対しては愛情もそれなりに持っている描写があるため、まあ許せるかなと言う具合になっている。

『アットホームダッド』に比べると、社会性は漂白されている作品であると言えよう。主人公たちが暮らす、生活感のない新興住宅街が日本の現代社会から浮いている感覚を増幅させる。デフォルメがされたキャラクター、演出も印象的だ。社会性が薄いぶん、エンタメ性は強く打ち出されている。そのため、鑑賞するのであればストーリーがその分エンタメ寄りで、ギミックに凝っている脚本の『鬼嫁日記』の方が『アットホームダッド』よりも面白いと言えるが、重厚な社会的なドラマを好む人には到底薦められないだろう。