『新日本風土記 いつもでない一日』

日本全国各地のいつもでない一日を紹介する。島根、山形、東京、茨城、群馬などなど。各地で繰り広げられる、いつもでない一日に共通するのは、人と人とがつながる日であるということだ。

島根編では老人と保育園児の交流、山形編では村歌舞伎、東京では団地の懇親会、茨城では青空市場、群馬ではお茶会をする様子が繰り広げられる。

とりわけ印象に残ったのが、東京練馬の光が丘団地での、団地に住む人々の交流だった。高齢化が進む団地の中で、人と人とのつながりが新しく構築されていく。老人が生き生きと話に花を咲かせている。光が丘団地の光景は日本社会を何十年か先取っているように思える。日本の将来は高度成長期のときほど期待が胸を踊らせるものではないだろう。また自信を持ってそう信じ込めるほどもう日本人は純粋でない。しかし、先の見通しの立たない、未来の日本社会でも人々は、高度成長期に抱いていた期待とは異なった、新しいかたちの期待を抱いて生きていくということが光が丘団地の映像から分かる。